昨年、今年と将棋の電王戦で、コンピュータ将棋ソフトがプロ棋士を次々に負かしたことは記憶に新しいところです。
ことゲームと呼ばれるものは完全情報ゲーム(オセロ、将棋、囲碁など)と不完全情報ゲーム(麻雀、ポーカーなど)の二種類に分けられるそうですが、完全情報ゲームについては、コンピュータの高性能化により理論的には遅かれ早かれ完全解明(つまり必勝法が明らかになる)されてしまうとも言われています。
そんな中、幾人かの研究者たちが、今度はある不完全情報ゲームをターゲットにいかに人間と自然なコミュニケーションを取りながらプレイするコンピュータ(「エージェント」と呼んでいるようです)を作れるか、そんな目標を掲げたプロジェクトを立ち上げているようです。
そのターゲットとなるゲームは、なんと「汝は人狼なりや?」(つまり「人狼」)。
プレイしたことがある方はよくご存知でしょうが、人狼は誰が本当のことを言っているのかウソをついているのか全く分からない設定の中、お互い腹の探り合いをしながら正解を導いていく心理ゲーム。
どんなにケース分けをしたとしても、その場面、その状況によって100%正解といえる行動が決まっているわけではなく、人間でさえも行動パターンを考えるのが難しいゲームですが、果たしてその人狼エージェントにはどのような学習をさせていくのか、とても興味深いですね。
ちなみにプロジェクトのサイトでは、エージェントにまずこのような技術が必要と説明がなされているようです。
この目標の実現のためには,
・エージェントのプロトコル設計:エージェント技術
・モデル化した行動(自分は占い師と名乗る,誰々は人狼だと思うと指摘する,など)の思考:人工知能
・モデル化された行動の自然言語化,人間の自然言語の理解:自然言語処理
・エージェントのインターフェース(映像や音声による表現)の実装:HAI
といった技術が必要となると思われます.
今後、Pepper みたいな顔した人狼エージェントがたくさん作られて、人狼大会とか開かれるようになるんでしょうか。何だか怖い光景ですね・・・。