先日、このような記事が話題になっていました。
問題の要点を引用すると、
IBM Cloudの料金プランが、本人への通知がないまま変更された(無料枠の削除)
https://jaco.udcp.info/entry/2020/05/16/194826
かつてお試しでアプリを上げたユーザーに、思わぬ課金が行われている可能性がある
かつて一度でも使ったことがあるユーザーは、クレジットカードの請求を確認すべし
とあり、サービスの料金体系に関わるような大きな改変が、利用者への十分な告知もなく実施されたというわけです。
法的に白か黒かという点では専門知識がないのでコメントできませんが、これまで築いてきた企業やサービスの信頼を損ねるような問題行為であることは明らかで、まさか IBM ともあろう IT 界の巨頭がこういう行為をするものか・・・と驚かされる内容でした。
IBM Cloud Lite アカウントへの影響はない
ところで、自分が公開している Simple Slug Translate という WordPress プラグインがあるんですが、その中で Watson Language Translator という IBM Cloud の翻訳サービス API を利用した機能が実装されています。
今回の件で、このプラグインへの影響があるかどうかが気になったので、確認してみました。
まず、Watson Language Translator の API を利用するために、IBM Cloud Lite というアカウントを登録する必要があるのですが、このアカウントは登録およびサービス利用は無料で、また登録時のクレジットカード登録も不要です。
また、冒頭で紹介した記事に、こっそり有償化のお知らせがされていた IBM ブログの紹介もありましたが、そのお知らせ内容には下記のように、IBM Cloud Lite アカウントへの影響はないと明記されています。
なお、この度の変更は、 IBM Cloud Lite アカウントで現在ご利用可能な無料枠には影響しません。
IBM Cloud Foundry Public プラン変更のお知らせ | IBM ソリューション ブログ
つまり、Simple Slug Translate プラグインを利用するために IBM Cloud Lite アカウントを新規登録した方については今回の件の影響はない、ということが言えそうです。
実際に、自分でも下記の点をチェックしてみましたが、特に問題はありませんでした。
- IBM Cloud Lite アカウントにログインしてみて請求が発生していないか
- プラグインを入れているサイトで今まで通り機能が動作しているか
もしかしたら、当プラグインを利用していてこちらの件を心配されている方がいるかもしれませんので、ご参考までに・・・。
「Lite」ではない IBM Cloud アカウントをお使いの方や、IBM Cloud Lite 無料利用枠の上限を超えた有料プランを契約している方はもちろんこの限りではありませんので、念のため請求情報を確認されることをお勧めします。
おわりに
ひとまず現在自分が関わっている部分で影響がなかったことに一安心した一方で、IBM のサービス提供の姿勢には大きな不安を覚えた出来事でした。
いつサービスが終わるとも仕様が変わるとも分からない API の利用にリスクがあることは承知していますが、今回の件はちょっと異質な内容です。
この問題に対して利用者が理解できる対応がもしなされないようだったら、サービスの利用を続けることを考え直したくなりますね・・・。
というわけで、今後の動向には注視したいと思います。
追記:その後の IBM の対応
冒頭のブログで、その後の経緯が紹介されていました。
要点をまとめると、以下のような内容。
- IBM 側が事前のお知らせが不十分であったことを謝罪
- また、なぜそういう事が起きたのかの経緯を説明
- 3月、4月の利用料金を返金
IBM 側のブログで公式な見解も出されているので、ご参考までに。
ひとまず、誠意のある対応が取られたようであることに一安心しました。