こんな記事がはてブで話題になっていましたね。
自分も以前の勤務先では何年にも渡る客先常駐を経験したり、最終的にはそれがきっかけで転職したこともある人間なので、この業務形態について書かれている問題点は身に沁みて分かる気がします。
一見悪いことだらけという結論で終わり兼ねないこの仕組みですが、ただその一方で客先常駐だったからこそ経験できたことや学んだことも実は多かった、と個人的には思っています。
そんな自分が客先で働くときに意識して学ぶようにしていたことを、思いつくままにいくつか書き出してみました。
客先常駐で学んだこと
人脈を作ること
いつも社内に留まっていては得られない大きなメリットと言えばこれ。自分もこのおかげで、会社を辞めてからも情報交換したり、たまに会ったりとお付き合いさせてもらう方が何人もできました。
一般の業務のやり取りだと窓口の役割を担う担当者間でしか接点はできませんが、客先常駐に入ることで自然と現場の人間同士での接触することになるので、すごく距離感の近い知り合いができやすい特徴もあるかと思います。
規律を正すこと
会社の性格にもよりますが、いつも自社にいると、時間を守る、挨拶をする、身だしなみ・・・といったいわゆるビジネスマナーが段々とおろそかになりがちではないでしょうか。(少なくとも自分の場合はそうw)
でも客先にいけば、周りの人は全てお客様。常に常識的な社会人としての振る舞いが求められるので、自然と規律を意識した行動を取らざるを得ません。ビジネスマナー研修で教わったことは3日もすれば忘れてしまいますが、こうして体で覚えた実戦的なマナーであればより定着することでしょう。
自分など元々マナーのイロハもよく分からずに生きてきた人間ですが、お客様を前にして失礼な行動は取らないよう気を付ける、相手のルールに合わせて守るべきことは守るといった点は自然と意識して行動するようになりました。
新しい技術やワークスタイルを学ぶこと
客先で働くということは、その会社の技術やワークスタイルを盗める(言葉は悪いけど良いことかと)最高の機会でもあります。
新しい言語やソフトウェアの技術を学んだり、チームで使っているツール、他のメンバーのテクニックを吸収したりと、スキルアップのネタが日々あちこちに転がっています。
自分の場合、それなりに工数やメンバーも中〜大規模な案件が多かったので、特にその開発チームがどんなプロジェクト管理手法を取っているか、それによってチームがどう動いているかといった点によく注意しながら業務にあたっていました。
チームビルディング、タスク管理や進捗管理の手法・ツール、ドキュメントやソースコードレビューの回し方、テスト計画を元にした品質管理など・・・。自社の業務テンプレートの枠を超えた色々な現場のやり方を体験できたことは、今の自分にとっての良い糧になっています。
他人と仕事のレベルを比較すること
自社だけで働き続けるのが怖いことの一つに、井の中の蛙になってしまうことがあるのではないでしょうか。
外に出て働くことで、同世代または自分より下の世代の人間が、どういう役割でどんなスキルを持ってどういう業務をこなしいるのか、またどんな意識レベルで働いているか、自分と比較する良い機会を得られます。
自分より年下のメンバーがより責任ある立場につき、高いスキルで仕事をこなしている様子を何度も目にしたことで、自分に足りないものに気付かされたり他の方の技術を参考にさせてもらったりして、それ以降の働き方に大きな刺激を受けたことは数知れません。
営業力を身に付けること
例えば、製造工程のみ任されたプログラマーの派遣であっても、取引先から見ればその人間は会社の顔。その人の業績がそのまま会社の評価に繋がってしまうほど、実は責任ある立場であったりすることも少なくありません。
ただそれは見方を変えれば、今後も継続的に案件を発注してもらえるかどうかの影響力を持ったキーパーソンになれるということでもあります。
与えられた仕事で成果を上げるのはもちろん、客先の担当者と良い関係を築いたり、さりげなく次の案件の事前相談に乗ったりするなど、自分も営業になったつもりでどれだけ会社に貢献できるかtyレンジしてみるのも貴重な経験になるでしょう。
おわりに
IT業界の客先常駐は好ましくない業務形態だと自分も思っていますが、それでメリットを享受できる立場の人間が実際にいる以上、そうそう無くなることはないのが現実でしょう。
でも、気に入らないからといってすぐ辞めてしまうのは簡単ですが、それではちょっともったいない。どうせならその立場を自分の学びの場として逆に利用してみるのも、一つの良い案かもしれませんね。
ものの評価なんてその人の見方によってガラリと変わるもの。嫌々だった客先常駐の仕事が、もし考え方一つで少しでも前向きに取り組めたなら、きっと人生を今よりも良い方向に変えていけるんじゃないでしょうか。