ITとありますが、特にインターネット界隈のビジネスの歴史や成功を納めた会社の仕組みなどについて、基礎知識を分かりやすく解説した一冊。
多少の前提知識があることを差し引いても、遅読な自分が数時間でさらさら読めてしまうほどだったのですが、それは深く掘り下げては無いにせよ決して内容が薄いからというわけではなく、著者の説明の仕方が丁寧でありかつ面白いからなんだろうという気がします。
普段ITに関わっている自分にとっても、新たに気付かされることがいくつもありました。
例えば、アメリカ的なものと日本的なものの特徴的な違いとしてAmazonと楽天を挙げ、Amazonが成功するために削ぎ落としてきた無駄に見える要素を、逆の視点で日本的なハイコンテキクトなものとして評価しています。ただの価格競争になりがちなビジネスの現場において、サービスの背景や購入プロセスなどで付加価値を付けるという発想は、ネット通販に限らずどんなジャンルでもヒントになりそうなことです。
ネットワークやITは「自己実現を加速するもの」であり「人を幸せにするもの」
という記述が冒頭でありましたが、自分が抱いたIT像と重なるこの言葉はとてもお気に入りです。インターネットがあれば Web サイト作ったり、ブログ書いたりとにかく楽しい生活が送れるし、できれば人に喜んでもらえるようなものを作りながら食べていけたらもっといい。
一昔前に「ウェブ進化論」や「ウェブ時代をゆく」などを読んだ時に受けたように、この類の本は Web に自分の生きる場所を見つけていくという意欲をすごく沸き立たせられます。いい刺激をもらいました。
ITに関わる人はもちろん、そうでない人でも十分理解できる内容なので、幅広い方にオススメできそうな一冊です。