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将棋電王戦FINAL、AWAKE巨瀬さん衝撃の投了で阿久津八段が勝利した第5局の感想。

      2015/04/17   将棋, 生活 , ,

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将棋の電王戦FINAL第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE の対局は、21手で AWAKE 開発者の巨瀬さんが投了するという衝撃的な結末で阿久津八段が勝ちました。この最終戦の結果をもってプロ棋士対コンピュータ将棋の対戦成績は3勝2敗となり、過去の電王戦を通じて団体戦として初めて人間側が勝ち越しを果たしました。

詳細は各サイトのレポート記事をご覧ください。

対局の感想

この第5局についてはあまりの展開にあちこちでニュースにもなったので、内容は省略して個人的な感想を述べておきます。

2八角作戦について

まず、阿久津八段が採用した2八角作戦について。

対局前から、自分はもし実現するものならばぜひ見てみたいと思っていました。

電王戦は、普段の棋戦では絶対に見られない人間対コンピュータという非日常世界の戦いです。ドワンゴ川上会長の言葉を借りれば「異種格闘技戦」、どんな指し手や局面が生まれるか分からないし、この時だけでしか見られない将棋を見ることができる、そんなワクワクするようなイベントなわけです。

電王戦だからこそ採用すべき作戦だったのだし、期待が現実になる様子を目にすることができて、自分はすごく興奮しました。

プロ棋士としてこの作戦を敢行することへの葛藤、自分のスタイルを崩すことのためらい、周囲からの批判を受けることへの不安・・・色々なものを背負うことになると分かっていたであろう阿久津八段が、それでもなおこの選択肢を選んだ気持ちの強さに非常にしびれました。勝負師・阿久津主税はとてもカッコ良かったです。

21手目での投了について

ここで投了!?とかなり驚きましたし、もっと見たかったという気持ちもありますが、投了のタイミングはルール上開発者に与えられた権利なので、この投了については何も問題ないと思いました。

また、このタイミングで投了する意図を推測した時に、自分は始め元奨励会員の巨瀬さんならではのトッププロ棋士に対する敬意(この優勢な局面でプロ棋士が勝つのは間違いないのでこの先続けても失礼)のようなものかと思っていました。

ところがその後の会見でも重ねて発言がありましたが、阿久津八段の取った作戦に対する非難のニュアンスが極めて強い投了だったようですね。

「将棋の技術向上に繋がる指し方をして欲しかった」(巨瀬さん)という気持ちはよく分かるのですが、それはソフト開発する上での主観的な目的であって、勝つか負けるかというこの勝負の場において相手に望むものではなかったように思います。

しかも今回の2八角は、AWAKE に限らず他の多くのソフトも抱えているコンピュータ将棋共通の弱点だったようです。(コンピュータ将棋は考慮時間と性能の兼ね合いで指し手の読みをある深さまでで打ち切る性質があるが、それだと2八角作戦のように長手数の先に角が取られてしまうような手順を読みきれない。)相手の弱点を付いて勝ちに行った阿久津八段の選択は至極当然のことと言えますし、もしその弱点をあえて見逃してもらうような戦い方をされても開発者だってモヤモヤしたものが残るでしょう。

コンピュータ将棋がこのことを新たな課題として受け止めて、またブラッシュアップしていくことに繋がっていけば、それは一つの理想形ではないでしょうか。

今回のこれはバグではなくコンピュータ将棋の弱点を突かれたもので、コンピュータは弱いから負けたのだ、ということになるでしょう。昨今、人工知能に対する関心が世界的に高まっていますが、このようなセキュリティーホールを突かれても人工知能は正常に機能できるか、という議論は今後数多くなされるであろうと思われます。
via: コンピュータ将棋協会blog

面白い将棋とは?

こういった事前研究をなぞるような将棋が見ている側に面白いのか?プロ棋士としてそれがあるべき姿か?といった議論もありますが、自分としてはこんなに短手数・短時間だったにも関わらずこの対局をとても楽しめました。

対局前の異常なほど張り詰めた緊張感、3手目に振り飛車表明した時の高揚感(振り飛車にどんどん食いついてくる藤井九段のニコ生解説がまた最高でしたねw)、2八角作戦に向かうまでのドキドキ感、2七銀上がってから2八角打ってくるまでの不安感・・・雰囲気から背景からもう色んなこと含めてあらためて将棋って面白いな・・・とすら感じました。

さらに付け加えると、そもそも今回の出場棋士5名には内容云々よりもまず勝つということが強く求められていたはずです。

思えば電王戦FINALの出場棋士発表日、ある記者の「この電王戦の出場にあたって勝とうという気持ち、強くなりたいという気持ちのどちらか?」といった質問に対して、永瀬拓矢六段が「電王戦を通じて強くなりたいという発想をしたことがなかった。勝つために出場した。」という旨の回答をしていたのが非常に印象に残っています。

また数多く流れたPVの中でも、例えば斎藤慎太郎五段は「タイトルホルダーを差し置いて自分が出場したからには勝つことを目指す。」、村山慈明七段は「勝負師として勝つことにこだわる。」といった趣旨のコメントを残しました。こういった考え方は、今回の出場棋士全員の共通認識であったはずです。

そして5人はその与えられた役割を全うしました。色々な情報を集め、事前研究にあたり、作戦を練って。練習対局で厳しい実績が積み上がるプレッシャーも沢山抱えながら、全力を尽くしてコンピュータと対峙し続けたことでしょう。ただ一局の将棋にとにかく勝つために。

そんな思いがぎっしり詰まった将棋が面白く感じないわけが無いと思うのです。

まとめ

5週間に渡り続いた電王戦FINALもこれで幕を閉じました。

事実は小説より奇なり。毎週毎週よくこれだけのことが起きるなあと感心してしまうほど、今年は話題に事欠かない電王戦で心から楽しませてもらいました。この電王戦を実現してくださった全ての関係者の方に、本当にありがとうございました!と感謝の気持ちを伝えたいです。

電王戦の後続企画とされていた電王戦タッグマッチはいったん白紙との発表がありましたね。きっとそれに代わる新たな電王戦続編の段取りにドワンゴ、将棋連盟ともフル回転で頭を巡らせているのだろうと勝手に思っています。また来年も素晴らしい電王戦を期待しています!

電王戦FINAL 前局までの感想記事

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